こねたり造形したり、誰もが一度は取り組んだことのある粘土遊び。
実は、家庭にある材料で簡単に楽しめちゃうんです!
この記事では、年間50回以上小麦粉粘土を作るこどもの育ちの専門家が、小麦粉粘土の作り方とアレンジ、遊びかたの工夫をまとめています!
運営者は作業療法士として発達に関わる仕事をしています♪
- 面倒な計量ナシ&シンプルな材料で簡単に作る方法は?
- 硬さやべたつきの調整はどうやるの?
- 遊びかたのバリエーションは?
こんな「?」をすっきりさせましょう!
小麦粉粘土の材料と作り方
それでは、とっても簡単な小麦粉粘土の作り方を紹介します!
ぜひお子さんと一緒に作ってみてくださいね。
基本的な材料
- 小麦粉
- 水
- 食紅や絵の具 (色をつけたいとき)
口に色々なものを運んでしまう月齢時には色づけに食紅などの食品を使用すると安心です! - ボウルまたは深皿
今回、色づけに「デコふり」も使ってみました!
作り方
ボウルに小麦粉を入れます。量は測らなくてOK。
そこに、色の素も入れましょう!
◆食紅のとき:少しでも色が付きやすいので入れすぎ注意!
◆絵の具のとき:後から追加もできるので少なめからスタートで大丈夫
◆デコふり:とりあえずパラパラかけてみました。
└色づきが薄くて後から追加したので、写真より多いほうが良いかと思います。
青汁の粉やコーヒーなど、他の色が付きやすい食品でも色づけできますよ
食紅のように粉状のもので色づけをする場合には、この時点でしっかり混ぜておくと色が綺麗につきやすいです!
小麦粉と色の素のボウルに、少しずつ水を加えながら混ぜていきます。
手で混ぜることがおすすめですが、ベタベタが嫌なときには割り箸を使ってもOK。
水をちょっと入れて、よく馴染ませて、またちょっと入れて、よく馴染ませて…とするのがポイント。意外と水は少なめでまとまってくれますよ。
水の量も測らなくてOK。
こねながら調整していくのも手作り粘土の醍醐味です。
水を少し入れて→しっかりこねて、を繰り返していくと、ちょうどよい硬さになるタイミングが現れます!
ちょっと硬いかも・・・くらいで水を足すのを止めてこね続けると、しっくりくることが多いです。
もし柔らかくなりすぎてしまったら、小麦粉を少しずつ追加しましょう!
手作り粘土のできあがりです☆
硬さやべたつきの調整
次のような方法で硬さの微調整ができます。
・硬くなりすぎたときには、手を水でぬらしてこねる
・柔らかくなりすぎたときには、小麦粉をまぶしてこねる
作った粘土は、10分~など時間が経つと、完成直後より柔らかくなります。グルテンの質が変化しているらしいです。
そのため、若干硬めに仕上げておくとよいですね。
べたつきが特に気になるときは、油(サラダ油)を少し垂らす程度入れると手につきにくくなります。後入れでもOKです。
遊ぶエリアや手に少なからず油がついてしまうので私は基本的には使っていません。
・柔らかめの粘土で遊びたいけど、油ナシだと手にベタベタくっついてしまう
・触覚が過敏で手に貼りつくことが不快になりすぎてしまう
こんなときに油を使っています。
小麦粉粘土で育つ力
小麦粉粘土に限らず、ねんど遊びでは次のような力を育むことができます!
手や指の筋力
粘土を作るときのこねあげや、完成した粘土をこねているとき、ギュッと手のひらでつぶしたり握ったりしているとき、手のひらの筋肉を使うことになります。これにより手の中にあるたくさんの筋肉を鍛えることになります。
粘土をつまんだり、ひっぱったりするときには、指先の筋肉も使います。これも、「つまみの力」に必要な筋力を鍛えることになります。
手や指の筋力は、お箸や鉛筆などの道具操作や、服のボタンのつけはずし、お菓子の袋を開けるときなど、様々な場面で活きてくる基礎的な力となります。
手や指の「器用さ」
「巧緻性(こうちせい)」と呼ばれます
指先が器用である=手や指の細かな動きが上手にできる、ということです。これを難しい言葉ですが「巧緻性がある」と呼びます。
粘土遊びでは粘土を細く伸ばしたり、手のひらでコロコロと丸めたりするような細やかな手や指の動きが必要となります。
そのため、粘土遊びをしていくと手や指の巧緻性が高めることができます。
手のひらや指先の力加減もできるようになります
粘土で造形をするときには、時にはつぶれないように優しく扱ったり、時には平らにするためにギュッと力をこめたりします。
楽しく色々な触りかたをする中で、手のひらや指先で力を加える能力が成長します。そして、どの程度の力を入れたらどのように粘土の形状が変化するのか、からだが学習していきます。
これにより、細やかな指先の力加減ができるようになるのです。
生活にどう活きるのか
「器用さ」は生活の中で大切な力となります。
子どもたちにとっては、まず、身近な道具を使う際に必須です。スプーン、フォーク、お箸という食事場面。ハサミ、クレヨン、鉛筆といった工作・表現・勉強場面などなど。
また、ボタンを留める/外すことや、靴下の着脱など、更衣場面でも必要な能力として活きてきます。
手や指で感覚を感じとる力
手のひらや指先はとても繊細な感覚を感じ取ることができるようにできているのですが、これは赤ちゃんのころから幅広い感覚を経験していくことでより豊かに活用することができます。
ふわっとした粘土、固めの粘土、べたっとする粘土、さらっとする粘土。
小麦粉粘土だけでも様々な変化をつけることができます。
そのときに出来上がる感触の違いで、手や指にも新しい感覚を与えることができるのです。
全く同じレシピで作らないことって、簡単なだけではなく副産物も得られるんです。ラッキーですよね!
右手と左手の協調性
粘土遊びでは利き手だけではなく、反対の手も使うことになります。
この経験は右手と左手の協調的な動きの練習になります。
例えばこんな遊びかたのときです。
・ギュッと両手で握ってから引っ張ってちぎる
・両手で押しつぶす など
・手の中でコロコロと丸める(お団子を作るのは意外と難しいです)
・道具を使って粘土を切る
・容器をおさえてその中に粘土団子を入れる など
生活にどう活きるのか
右手と左手を協調的に使えることは、生活の中の道具を安全にかつ適切に使えることに直結します。
ごく一例を紹介します。
・食事のとき:お箸を利き手に持ち、茶碗を反対の手に持ちます。食べ物をこぼさないようにすくいとって運ぶために。
・工作のとき:ハサミを利き手に持ち、紙を反対の手に持ちます。切りたい形に切り進めるために。
大きくなってから料理をするときにも、安全に包丁で食材を切るためには必須の能力ですね。
集中力
粘土あそびをしているときはひとつの作業に注意を向け続けることになります。ある作品を作り上げるときはもちろん、見本と同じものを作ろうとしているときには目標とする形をじっくり見たり、手元でどうするべきか考えたり…これは集中力を高め、育てることに繋がります。
情緒面の基盤
粘土あそびでは、感触そのものを楽しむ目的もありますが、何らかの作品が完成することになることが多いです。自ら手をかけたものにより、「できあがった」という経験が得られるということです。
これは、子どもの達成感に直結し、自信を得ることができます。周りの人に褒めてもらえたら更にその気持ちは高まるでしょう。自己肯定感や、次への挑戦への意欲といった、情緒面の基盤にも繋がっていきます。
作りかたのバリエーション
次のようなものを加えることで、感触のバリエーションを広げることができます。
- 塩
- 油
入れるタイミングは「小麦粉+色の素をボウルに入れたあと、水を入れる前」が作りやすいですが、完成した小麦粉粘土に後入れでも大丈夫です。ちょっとこねるのが大変かもしれませんが、がんばってコネコネしましょう。
塩をプラスしてみよう
塩を少しだけ入れると腐りにくくなるため、防腐剤の役割で加えることもあります。
たくさん入れると…なんとさくさくした感触に変わります!
油をプラスしてみよう
油を入れると手につきにくい粘土になります。
入れすぎはベタベタになるので垂らす程度から調整しましょう
特に、水が多めの柔らかいタイプの粘土を作りたいときには、油も一緒に入れることがおすすめです!
何歳からできる?あそびかたのバリエーションは?
シンプルな「粘土」だけにあそびかたも幅広いです。
まずは道具ナシで!手をたっぷり使おう
道具を使わないあそびかたは0歳後半から楽しめます!
道具が使える年齢でも、まずは手をたっぷり使って感触を楽しむことがおすすめですよ。
にぎる、まとめる、つぶす、ちぎる、こねる、つつくといったあそびができます。
例えば、ちぎりながら「ちぎれたね」という声かけをしてみましょう。動作と言葉が結びつき、ことばの成長にも効果的です。
赤ちゃん時期は特に、粘土そのものが新鮮な刺激となります。
・ツンツンつついて「これ、なんだろう?」
・大人が細く伸ばした粘土の反対を引っ張って「ちぎれる!」ことの発見
・ギュッと握って「つぶれる!」の発見
大人が丸めたお団子粘土を転がして、それを赤ちゃんが見るだけでも視覚的な刺激になります。追いかけたり、つかまえたり、という経験も楽しいですね。
色を混ぜてみよう
複数の色があれば、混ぜてみるのも。
色を混ぜて変わる実感は色彩感覚を育み、科学的な興味への入り口にもなります。
全部の色を混ぜて毒々しくなるのも…びっくりするけどひとつの大事な経験。
道具を使って形を作ろう
感触そのものを楽しんだら、道具を使ってみましょう!
いくつかご紹介します。
・めんぼうで伸ばす
・おもちゃの包丁で切る
・型抜き
・ヘラやフォークで模様付け
型抜きは粘土用に限らず、100円ショップのクッキー型もおすすめです!
ごっこ遊びに発展してみよう
3歳頃になると目的をもって作品を作ることを楽しめる時期のお子さんも多いです。
創造力をはたらかせて自由に作るのも楽しいですが、どうしたらいいか分からないときにはテーマを提案してみることも良いでしょう。
「○○ちゃんに、お弁当作ってもらいたいな」
「ママがくまちゃんの顔を作るから、耳と目をつけてくれるとうれしいな」
「お皿をつくってお団子を入れよっか!」
など、お子さんが何をつくるか考えるヒントにもなります。
お店屋さんごっこや、ぬいぐるみに食べさせごっこなどに発展させることで、コミュニケーションや想像力の育ちになっていきます!
保管方法のポイント
基本的には食べられるものが材料なので、腐ってしまいます。
1~2日で捨てるのが安心です。
夏場、うっかり二日ほど放置してしまったら大変なことになりました…
ラップに包んで冷蔵庫保管することを強くおすすめします・・・!
小麦粉粘土で楽しい時間を♪
身近な材料で作ることができて遊びの幅も広い小麦粉粘土。
想像して作品を作ったり、ごっこ遊びをしたりしながら楽しい時間を過ごしてくださいね。
同じように手や指を使うあそびならこちらもおすすめ▼